石の加工に使うノミのメンテナンス作業。昔ながらの「焼き入れ」

ホームページをご覧いただきありがとうございます。都立多磨霊園門前にございます豊島屋です。石の加工に使うノミのメンテナンス作業を行いました。

 

道具のメンテナンス

石材店では、石の加工にさまざまな道具を使います。今回はご紹介するのは、その道具のひとつである「ノミ」のメンテナンスです。ノミは、頭の部分を石頭(せっとう)と呼ばれるハンマーで少しずつ打って、石を削って加工する際に使う道具です。使っているうちに先が丸くなってくるので、時々形を整える必要があります。

このたび文化財の復元工事の一環で、福島県白河市の小峰城の石垣復旧工事に参加させていただいたのですが、その工事中にメンテナンスが必要になりました。福島県で採れる白河石は安山岩系の石で軟石なので、鉄ノミで加工します。超合金がついたノミではうまく加工ができません。また、昔と同じ道具を使って同じように加工することで、昔からある石との調和もとれます。

 

実際の作業のようすです。まずはコークスに火を灯して、火床を作っています。

 

ノミの先端を火床に入れて、赤くなるまでしばらく置きます。様子を見ながら、たいだい5~10分くらい待ちます。

 

様子を確認して取り出し、先端が尖るように叩いて成形します。叩いている間に冷めて黒くなってくるので、再度火に入れて赤らめてから叩いて、を繰り返します。

 

柔らかくなった鉄を水に入れると、「ジュッ」と音がして急冷され、鉄が硬くなります。これを「焼き入れ」といいます。昔は石工から行ってきたメンテナンスで、私の祖父もやっていましたが今ではできる人も少なくなり、私は「文化財石垣保存技術協議会」に入ってから研修会でやり方を教えてもらいました。ハンマーは自分で買いましたが、それ以外の道具は祖父が使っていたものを使っています。こうしたメンテナンスは、今回のような文化財の復元工事等には欠かせないものです。次代に残る仕事とともに、次の世代にも受け継いでいきたいですね。